各都市の連続立体交差事業の取り組みをみてみよう!

開かずの踏切をなくそう

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地域における取り組み

    

実際に連続立体交差事業を行っている都市を例にして詳しくみてみましょう。西宮市、京都市、堺市の3都市で行われている連続立体交差事業の事業内容や効果を紹介します。どの都市も開かずの踏切による交通渋滞の解消や安全性の向上、街の活性化などを目的として行われていますが、高架化に対する住民の期待も高いため早期の工事完了が望まれています。しかし中には地方自治体や鉄道事業者の予算不足の影響でなかなか工事が進んでいない地域もあります。

        

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西宮市の取り組み

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西宮市には踏切が6か所あり、ピーク時には1時間のうち42分も遮断機が下りているという開かずの踏切状態だったため、交通渋滞や踏切事故は大きな障害でした。そのため、渋滞の解消や安全性の向上を目指して鳴尾駅の高架化を行ったのですが、高架化により踏切遮断時間がおよそ40%短縮され短縮され渋滞の長さも三分の一ほどになり、スムーズに通行することができるようになりました。高架化の切替は2015年に下り線が、2017年に上り線が終了し、残る工事は踏切の撤去のみで2018年に全工事が完了する予定です。

京都市の取り組み

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観光客が数多く訪れる京都市でも連続立体交差事業が行われ、交通渋滞の解消や安全性の向上が進められています。事業が進められているのは西京区の洛西口駅ですが、この地域の南西部には大きな住宅団地があります。徒歩での移動が難しく自転車や自動車、列車での移動が主な交通手段となるため、開かずの踏切による交通渋滞は深刻なものでした。しかし、高架化によって踏切遮断時間が半分ほどに短縮され渋滞の長さも短くなったため、交通渋滞はだいぶ解消されました。

堺市の取り組み

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堺市は政令指定都市でもあるため、この地域の連続立体交差事業は堺市が主体となって行っています。堺市の連続立体交差事業は石津駅~羽衣駅の区間を対象としていますが、その区間には諏訪ノ森駅や浜寺公園駅といった登録有形文化財の駅もあるため、高架化に際して、駅をどうするのかが大きな課題となっています。今までは高架化によって駅が取り壊されてきましたがこの2つの駅は登録有形文化財ということもあり、特別な配慮が求められています。

高石市の取り組み

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1994年に関西国際空港が開港したことで、南海本線は和泉地域や和歌山市から大阪市中心部へ向かう通勤・通学路線だけではなく、関西国際空港への輸送路線にもなりました。電車の本数も増え、市の中心部を南海本線が通る高石市でも踏切による影響が大きくなりました。堺市と同様に連続立体交差事業が行われましたが、順調なものではありませんでした。

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全国に点在する開かずの踏切

日本全国にある開かずの踏切はおよそ600か所ですが、そのうち半数は東京都内にあります。また、その開かずの踏切の中でも特に踏切遮断時間が長い踏切は東京や大阪、名古屋に集中しています。踏切は列車だけでなく歩行者や自動車などさまざまな手段で通行することができるため、安全面を考慮して事故の原因となりうる開かずの踏切の改善は国土交通省からも義務付けられています。

連続立体交差事業とは?

開かずの踏切の解消に有効な連続立体交差事業は、線路を高架化もしくは地下化することで踏切自体を撤去する工事です。高架化には仮線方式、別線方式、直上方式の3つの方式がありますが、仮線方式や別線方式の場合は周辺の用地の確保が、直上方式の場合は最終列車の発車以降しか工事できないため夜間しか工事ができない、といった問題点もあり、工事が完了するまでにはかなりの時間が必要となります。

連続立体交差事業のメリット

連続立体交差事業によって線路が高架化されると、ホームの増設もできるため相互発着が可能になります。相互発着により同時に2本の列車がホームに乗り入れることができるため列車の運行本数を増やすことができ、満員電車の混雑の解消にもつながります。また、小田急線のように線路を地下化することで複々線化も可能になるため、急行と各駅停車が分けられ、よりスムーズに運行することができます。

京都市の取り組み

洛西口駅付近で行われている連続立体交差事業は交通渋滞の解消や地域の活性化を目的として行っているため、線路の高架化だけでなく街づくりもかねて自転車や歩行者用の関連側道工事も行っています。高架化の切替工事は完了し、工事前に比べると踏切の遮断時間もだいぶ短縮され、開かずの踏切によって引き起こされていた交通渋滞の問題もだいぶ改善されています。