開かずの踏切の解消に有効な連続立体交差事業ってなに?

開かずの踏切をなくそう

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連続立体交差事業とは?

連続立体交差事業とは?
    
線路の高架化や地下化など、開かずの踏切による交通渋滞の解消に有効な「連続立体交差事業」について詳しくみてみましょう。

連続立体交差事業とは?

連続立体交差事業とは、交通渋滞や踏切事故を防ぐために一定区間を高架化や地下化し、踏切を撤去する事業のことです。
元々は昭和40年代に当時の建設省と運輸省で締結されていましたが、平成に入り、国鉄の分割民営化によって実施されるようになりました。平成19年には地方公共団体と鉄道事業者の費用の見直しも行われ、連続立体交差事業は都市計画のひとつとして県庁所在都市や政令都市、都道府県が主体となって行っています。
この事業は「立替施行制度」「無利子貸付制度」のふたつの制度からなっていますが、立替施行制度は鉄道事業者によって創設された制度で、地方公共団体を資金面と体制面の両面から支援する制度です。それに対して無利子貸付制度は事業費用全体の9割を国と地方公共団体が、1割を事業者が負担する制度です。

連続立体交差事業の「高架化」とは?

連続立体交差事業は「高架化」と「地下化」のふたつの方法からなっています。
高架化には既存の線路の側に仮線を作り、その仮線を線路に切り替えている間に既存の線路の場所に高架を作り、工事完成後、仮線から高架に切り替える「仮線方式」、既存の線路の横に高架を作り、出来上がり次第既存線から高架に切り替え、その後既存線は撤去する「別線方式」、既存線の上に高架を作り、高架完成後既存線から高架に切り替える「直上方式」の3種類の工事方法があります。
仮線方式や別線方式は、高架を作る用地が必要になるため、工事まで時間がかかってしまいます。ですが、直上方式は既存している真上に高架を作るため新たな用地は必要ありません。しかし、通常通りに運行している列車の上を工事するため、本格的な工事は運行が終了した夜間しか行うことができず、こちらもまたかなりの時間がかかってしまいます。

連続立体交差事業の「地下化」とは?

地下化は高架化に比べると工事行程が複雑なためさらに時間がかかります。
まずは用地を買収するところからはじまり、下り線の仮線切り替え、上り線の仮線切り替えを行った後に地下を掘削し、線路を作り、出来上がったら地下の本線に切り替えし、地上を整地、と工事行程は高架化の倍です。
しかし、どちらも用地の確保が最重要事項になるため、いくら改善の必要があっても用地を確保できないことには工事を進めることができません。

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全国に点在する開かずの踏切

日本全国にある開かずの踏切はおよそ600か所ですが、そのうち半数は東京都内にあります。また、その開かずの踏切の中でも特に踏切遮断時間が長い踏切は東京や大阪、名古屋に集中しています。踏切は列車だけでなく歩行者や自動車などさまざまな手段で通行することができるため、安全面を考慮して事故の原因となりうる開かずの踏切の改善は国土交通省からも義務付けられています。

連続立体交差事業とは?

開かずの踏切の解消に有効な連続立体交差事業は、線路を高架化もしくは地下化することで踏切自体を撤去する工事です。高架化には仮線方式、別線方式、直上方式の3つの方式がありますが、仮線方式や別線方式の場合は周辺の用地の確保が、直上方式の場合は最終列車の発車以降しか工事できないため夜間しか工事ができない、といった問題点もあり、工事が完了するまでにはかなりの時間が必要となります。

連続立体交差事業のメリット

連続立体交差事業によって線路が高架化されると、ホームの増設もできるため相互発着が可能になります。相互発着により同時に2本の列車がホームに乗り入れることができるため列車の運行本数を増やすことができ、満員電車の混雑の解消にもつながります。また、小田急線のように線路を地下化することで複々線化も可能になるため、急行と各駅停車が分けられ、よりスムーズに運行することができます。

京都市の取り組み

洛西口駅付近で行われている連続立体交差事業は交通渋滞の解消や地域の活性化を目的として行っているため、線路の高架化だけでなく街づくりもかねて自転車や歩行者用の関連側道工事も行っています。高架化の切替工事は完了し、工事前に比べると踏切の遮断時間もだいぶ短縮され、開かずの踏切によって引き起こされていた交通渋滞の問題もだいぶ改善されています。