高石市は堺市、和泉市、泉大津市に接する、いわゆる『泉北地域』に位置し、JR阪和線と南海電鉄の2沿線が市の南北を通っています。これらの鉄道路線により、大阪市中心部まで約20分でアクセスできる便利な立地です。
高石市では1997年より道路混雑や踏切事故の解消を目的として、南海本線・高師浜線の鉄道高架化工事を実施しています。
高石市の取り組み
高石市ってどんなところ?
高石市は堺市の南に位置し、和泉市、泉大津市に隣接する人口およそ56,300人の都市です。高石市は『日本書紀』に「高石村」「高脚海」という地名の記述がみられるなど、1000年以上の歴史があるのも特徴。 大阪市内へは鉄道を使えば約20分でアクセスすることができるベッドタウンで、高石市を中心に住まい探しをサポートしている「ココロホーム株式会社」のホームページでは高石市をこのように紹介しています。交通アクセスとしては南海本線とJR阪和線の2wayアクセスとなっており非常に利便性が高いです。また、南海本線羽衣駅は急行停車駅ですので便利な駅です。 高石市には要件を満たせば固定資産税が免除になる制度や、高石空き家バンク制度などもあり市民にとって、特に子育て世代には住みやすい市ですね。市の西側、大阪湾沿いの埋立地域は『堺泉北臨海工業地域』で、多くの石油・科学コンビナートや倉庫などが立ち並ぶ、大阪の一大工業集積地となっています。 毎年10月には地域連合の手によって『高石だんじり祭』が開催され、威勢の良い掛け声とともに豪華な飾り付けの山車が市内各地をめぐるパレードが行なわれます。祭りの時期は他エリアからもだんじりを目当てに多くの観光客が訪れます。
高石市の連続立体交差事業(追加)
高石市(特に南海本線羽衣駅から高石駅周辺区間にかけて)の事故、交通渋滞、市街地分断など都市機能・街の発展を阻害している、鉄道の地上路線・踏切に関する問題解消が課題となっていました。1996年に立体交差事業が採択され、翌1997年に着工。当初は2017年1月に工事が完成する予定でしたが、工事の過程で数々の問題が浮き彫りになり(新たな耐震基準の策定に対応するための設計変更や物価高騰による工事費の見直し、工事による騒音・振動への対応など)、当初の工期から4年延長。また、工期が延びたため総事業費がおよそ66億円追加発生することとなり、これによって高石市の負担も9億円増加。市議会など一部からは批判の声が上がるなど、立体交差工事は一筋縄でいきませんでした。それでも事故、交通渋滞、都市機能の発展に向けて工事は進み、2016年5月に南海本線下り線の高架化が終了。2019年現在は上り線の高架化が行なわれており、2021年に工事が完了する予定となっています。なお、高石市の発表によると、この立体交差工事によって13の踏切が廃止され交通渋滞が解消されること、沿線駅舎のバリアフリー化、高架下空間の有効活用、鉄道によって分断されていた市街地の一体化・活性化など、幅広い範囲の都市機能における効果が期待できるといわれています。高石市の連続立体交差事業の進捗(追加)
2011年12月:下り線高架工事着手2013年2月:用地買収完了
2016年5月:下り線高架工事完成・下り線高架上へ運転切替(2016年5月14日)
2017年8月:都市計画事業認可変更(2017年8月24日)
2020年3月:都市計画事業認可変更(2020年3月27日)
2021年5月:上り線高架工事完成・南海本線上下線高架化完了(2021年5月22日)
2021年5月:高師浜線高架化工事のため一時運行休止、バスによる代行輸送開始(2021年5月22日)
2024年4月:高師浜線高架工事完成・高師浜線運行再開(2024年4月6日)
※高石市ホームページ「南海本線・高師浜線(高石市)連続立体交差事業>これまでの経緯」を参照(https://www.city.takaishi.lg.jp/kakuka/doboku/jigyou_ka/rennritu/koremadenokeii.html)
大阪府高石市での、南海本線・高師浜線(高石市)連続立体交差事業について、高架化工事に伴い2021年5月からはバス代行輸送を行っておりましたが、2024年4月よりバス代行輸送を終了し鉄道運行を再開しました。
この事業により、対象の踏切(13箇所)がすべて撤去されました。2024年以降は、引き続き、高架下の整備や高架沿いの側道整備工事を続けていくことになります。
高架化の完成・鉄道運行再開に伴い、「高架ウォーク」と「高架化完成記念イベント『おかえり!高師浜線大感謝祭~これからも地域のみなさまと共に~』」という名の高架化完成記念イベントも行われました。
「高架ウォーク」は、真横を南海本線の列車が走行している高架上を歩くことができる、貴重なイベントとなりました。
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全国に点在する開かずの踏切
日本全国にある開かずの踏切はおよそ600か所ですが、そのうち半数は東京都内にあります。また、その開かずの踏切の中でも特に踏切遮断時間が長い踏切は東京や大阪、名古屋に集中しています。踏切は列車だけでなく歩行者や自動車などさまざまな手段で通行することができるため、安全面を考慮して事故の原因となりうる開かずの踏切の改善は国土交通省からも義務付けられています。
連続立体交差事業とは?
開かずの踏切の解消に有効な連続立体交差事業は、線路を高架化もしくは地下化することで踏切自体を撤去する工事です。高架化には仮線方式、別線方式、直上方式の3つの方式がありますが、仮線方式や別線方式の場合は周辺の用地の確保が、直上方式の場合は最終列車の発車以降しか工事できないため夜間しか工事ができない、といった問題点もあり、工事が完了するまでにはかなりの時間が必要となります。
連続立体交差事業のメリット
連続立体交差事業によって線路が高架化されると、ホームの増設もできるため相互発着が可能になります。相互発着により同時に2本の列車がホームに乗り入れることができるため列車の運行本数を増やすことができ、満員電車の混雑の解消にもつながります。また、小田急線のように線路を地下化することで複々線化も可能になるため、急行と各駅停車が分けられ、よりスムーズに運行することができます。
京都市の取り組み
洛西口駅付近で行われている連続立体交差事業は交通渋滞の解消や地域の活性化を目的として行っているため、線路の高架化だけでなく街づくりもかねて自転車や歩行者用の関連側道工事も行っています。高架化の切替工事は完了し、工事前に比べると踏切の遮断時間もだいぶ短縮され、開かずの踏切によって引き起こされていた交通渋滞の問題もだいぶ改善されています。