連続立体交差事業のメリット
なぜ京王線は混雑するのか?
京王線では現在、笹塚駅から仙川駅間の高架化の工事が進められており、2020年頃を完成見込みとしています。高架化によって通勤ラッシュの原因となる列車の渋滞やノロノロ運転が大幅に減少することが予想されています。
元々京王線は首都圏有数の私鉄ということで、列車の運行本数も多く、開かずの踏切の多い路線でした。そのため、交通渋滞だけでなく車と歩行者が接触する人身事故も多く、その影響でさらに列車が混雑してしまうことも少なくありません。ですが、高架化が完成されればこういったトラブルからも解放されるため、列車や自動車の利用者だけでなく、沿線に住む人々も生活しやすくなるはずです。
解消が期待される開かずの踏切とノロノロ運転
京王線の高架化工事の目玉とも言えるのが明大前駅の工事です。明大前駅は京王線と井の頭線の乗換駅ということもあり、乗客数の多い駅でもあります。現在は2面2線構造なため、人の多い通勤時間ともなると乗り降りするにも時間がかかり、ホームに滞在する時間も長くなってしまいます。そのため、後続の列車がホームに乗り入れることができず、ノロノロ運転で徐行することしかできません。このノロノロ運転がどんどん後続の列車にも広がっていき、列車の渋滞を引き起こす原因となっていました。
しかし、高架化工事によって2面4線となるため、相互発着が可能になります。ホームや待機線に今までよりも多くの列車が乗り入れることができるため、ノロノロ運転をする必要がなくなります。ダイヤも今までは遅延ありきで作られていましたが、工事終了後はもっと速達性のあるダイヤを組むことができるようになります。
また、京王線は運行本数が多く、常に列車が走っている状態なため踏切が開く時間はわずかしかありませんでした。しかし、高架化されるとこの開かずの踏切は撤去されるため、邪魔な障害物はなくなり地上の行き来もしやすくなります。
なぜ小田急線は混雑するのか?
小田急線が混雑する理由は、乗客数と列車の本数がかみ合っていないことが原因です。
小田急線は急行が少なく特急が多いため、各駅停車の待ち時間は他の駅に比べて長めです。そのため、時間のむだを省くためにも急行に乗客が集中し、超満員の状態で走行することになります。それを解消する方法が線路の地下化です。
複々線化のメリットは?
小田急線の地下化の工事は2018年の完成を目指して現在も進められています。地下化工事は小田急線の複々線化を目的として行われていますが、複々線化することで急行用と各駅停車の線路を分け、スムーズな運行と運行本数の増発ができるようになり、混雑の緩和や時間の短縮というメリットも得られます。
また、複々線化することによって都市部へのアクセスが便利な千代田線直通列車の増発も可能になるので利便性も大きく向上します。
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全国に点在する開かずの踏切
日本全国にある開かずの踏切はおよそ600か所ですが、そのうち半数は東京都内にあります。また、その開かずの踏切の中でも特に踏切遮断時間が長い踏切は東京や大阪、名古屋に集中しています。踏切は列車だけでなく歩行者や自動車などさまざまな手段で通行することができるため、安全面を考慮して事故の原因となりうる開かずの踏切の改善は国土交通省からも義務付けられています。
連続立体交差事業とは?
開かずの踏切の解消に有効な連続立体交差事業は、線路を高架化もしくは地下化することで踏切自体を撤去する工事です。高架化には仮線方式、別線方式、直上方式の3つの方式がありますが、仮線方式や別線方式の場合は周辺の用地の確保が、直上方式の場合は最終列車の発車以降しか工事できないため夜間しか工事ができない、といった問題点もあり、工事が完了するまでにはかなりの時間が必要となります。
連続立体交差事業のメリット
連続立体交差事業によって線路が高架化されると、ホームの増設もできるため相互発着が可能になります。相互発着により同時に2本の列車がホームに乗り入れることができるため列車の運行本数を増やすことができ、満員電車の混雑の解消にもつながります。また、小田急線のように線路を地下化することで複々線化も可能になるため、急行と各駅停車が分けられ、よりスムーズに運行することができます。
京都市の取り組み
洛西口駅付近で行われている連続立体交差事業は交通渋滞の解消や地域の活性化を目的として行っているため、線路の高架化だけでなく街づくりもかねて自転車や歩行者用の関連側道工事も行っています。高架化の切替工事は完了し、工事前に比べると踏切の遮断時間もだいぶ短縮され、開かずの踏切によって引き起こされていた交通渋滞の問題もだいぶ改善されています。