全国に点在する開かずの踏切
日本全国にある「開かずの踏切」
日本にある踏切はおよそ3万5000か所。そのうち600か所ほどが開かずの踏切ですが、これは日本全国に点在しています。そのなかでもおよそ半数となる300か所は東京にありますが、1日の交通量と踏切の遮断時間から出される「踏切交通遮断量」から交通困難度を測定してみると、意外なことにワースト1は東京ではなく大阪の南海高野線の沢ノ町4号踏切でした。それに次いで、東京大田区にある京急蒲田第一踏切がワースト2、京急蒲田線第五踏切がワースト3にランクインしています。
このほかにも名古屋市南区にある踏切や京都市の踏切もランクインしていますが、ワースト10中およそ半分は東京の踏切で、そのうち3か所は大田区の踏切でした。
国土交通省も改善を義務付け
踏切は列車や自動車だけでなく、自転車や歩行者などさまざまな交通手段で通行することができます。そのため事故や渋滞が起きやすく、安全対策には十分配慮しなければいけません。しかし、開かずの踏切によって事故や渋滞が増えていることもあり、国土交通省は2017年にこれを解消する対策として地方自治体や鉄道会社に開かずの踏切の改善を義務付けました。
「開かずの踏切」対策のきっかけ
開かずの踏切による事故や渋滞はだいぶ前から問題とされていましたが、実際に改善するきっかけとなったのが2005年に東京の竹ノ塚駅近くで起きた踏切事故です。
事故の起きた踏切は線路の本数が多いため遮断期間の距離が非常に長く、ピーク時は1時間中58分も遮断機が下りていました。比較的列車の運行時間の少ない時間帯でも待ち時間はそれほど短くなく、さらに手動式の踏切という悪条件も重なり痛ましい事故が起きてしまいました。事故後、踏切は自動化されましたがそれだけでは根本的な問題の解決には至らないため、開かずの踏切の解決には高架化や地下化が最善となったのです。
高架化にあたり、まずは全国の踏切を点検して安全対策が必要な踏切を「改良すべき踏切」として指定し、早期の改善を促しています。
2016年に第一弾が、2017年に第二弾の踏切が指定されましたが、やはり東京や神奈川、愛知、兵庫といった大都市が多く指定されています。その中には山手線唯一の踏切、北区の第二中里踏切も含まれています。
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全国に点在する開かずの踏切
日本全国にある開かずの踏切はおよそ600か所ですが、そのうち半数は東京都内にあります。また、その開かずの踏切の中でも特に踏切遮断時間が長い踏切は東京や大阪、名古屋に集中しています。踏切は列車だけでなく歩行者や自動車などさまざまな手段で通行することができるため、安全面を考慮して事故の原因となりうる開かずの踏切の改善は国土交通省からも義務付けられています。
連続立体交差事業とは?
開かずの踏切の解消に有効な連続立体交差事業は、線路を高架化もしくは地下化することで踏切自体を撤去する工事です。高架化には仮線方式、別線方式、直上方式の3つの方式がありますが、仮線方式や別線方式の場合は周辺の用地の確保が、直上方式の場合は最終列車の発車以降しか工事できないため夜間しか工事ができない、といった問題点もあり、工事が完了するまでにはかなりの時間が必要となります。
連続立体交差事業のメリット
連続立体交差事業によって線路が高架化されると、ホームの増設もできるため相互発着が可能になります。相互発着により同時に2本の列車がホームに乗り入れることができるため列車の運行本数を増やすことができ、満員電車の混雑の解消にもつながります。また、小田急線のように線路を地下化することで複々線化も可能になるため、急行と各駅停車が分けられ、よりスムーズに運行することができます。
京都市の取り組み
洛西口駅付近で行われている連続立体交差事業は交通渋滞の解消や地域の活性化を目的として行っているため、線路の高架化だけでなく街づくりもかねて自転車や歩行者用の関連側道工事も行っています。高架化の切替工事は完了し、工事前に比べると踏切の遮断時間もだいぶ短縮され、開かずの踏切によって引き起こされていた交通渋滞の問題もだいぶ改善されています。